イベリコ豚(Iberico pig)は、スペイン原産の特別な豚の品種で、特にスペイン南西部のアンダルシア州、エストレマドゥーラ州、カスティーリャ・イ・レオン州、そしてポルトガルの一部地域にかけて飼育されています。
以下では、イベリコ豚の産地や育成環境、背景について詳しく解説します。
目次
原産地:イベリア半島
イベリコ豚はその名の通り、「イベリア半島(Iberian Peninsula)」に由来します。
スペインとポルトガルにまたがるこの地域が主な産地であり、特に以下の地域が重要な生産地です。
スペインの主な産地
- エストレマドゥーラ(Extremadura)
→ イベリコ豚の飼育面積が最も広く、ドングリ(ベジョータ)で育てる「デエサ(Dehesa)」と呼ばれる牧草地が多い。 - アンダルシア(Andalucía)
→ 特にウエルバ(Huelva)県のハブーゴ(Jabugo)は、イベリコ豚のハム「ハモン・イベリコ」で名高い。 - カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)
→ サラマンカ(Salamanca)県が有名で、特にギフエロ(Guijuelo)という町は加工品の一大拠点。
ポルトガルの一部地域(アレンテージョ Alentejo)
- スペインほど知られていませんが、ポルトガルでもイベリコ種の豚(「ポルコ・アレンテジャーノ」と呼ばれる)を育てており、品質の高い製品を生産しています。
イベリコ豚の飼育環境

デエサ(Dehesa)
イベリコ豚は「デエサ」と呼ばれるオークの木が点在する広大な放牧地で育ちます。
この土地はドングリ(ベジョータ)が豊富に実る環境で、豚たちは自由に歩き回りながらそれを食べて育ちます。
この自然放牧のスタイルが、イベリコ豚の肉質や香りに大きな影響を与えるため、「産地」と「育成環境」は非常に密接な関係にあります。
原種と品質等級
イベリコ豚とは「品種」の名称
イベリコ豚は、スペイン固有の黒い蹄を持つ豚で、遺伝的に独特の脂の乗り方をします。
この脂が「霜降り(マーブル状)」になるのが特徴です。
血統による分類
- 100% イベリコ種:純粋なイベリコ種。最も希少で高級。
- 75% イベリコ種:母がイベリコ、父がデュロック種など。
- 50% イベリコ種:一般的に市販されるグレード。コストパフォーマンスが高い。
原産地名称保護制度(D.O.)
スペインでは、原産地名称保護制度(Denominación de Origen、略称D.O.)により、品質と信頼が保証されたイベリコ豚製品が生産されています。
以下は主なD.O.地域
- D.O. Jabugo(ハブーゴ)
- D.O. Dehesa de Extremadura(デエサ・デ・エストレマドゥーラ)
- D.O. Guijuelo(ギフエロ)
- D.O. Los Pedroches(ロス・ペドロチェス)
これらの産地表示がある製品は、厳格な品質管理のもとで生産されており、本物のイベリコ豚製品であることの証となります。
まとめ:イベリコ豚はどこ産か
項目 | 内容 |
---|---|
原産国 | 主にスペイン(一部ポルトガル) |
主な地域 | エストレマドゥーラ、アンダルシア(ハブーゴ)、カスティーリャ・イ・レオン(ギフエロ) |
飼育環境 | デエサ(広大な放牧地)で放牧育成 |
特徴 | 高い脂質含有量、香り高い赤身、霜降り状の肉質 |
品質保証 | 原産地名称保護(D.O.)制度あり |
日本での表記と注意点
日本の市場では「イベリコ豚」とラベルされていても、その血統や飼育方法によって品質が異なります。
特に「100%イベリコ種」「ベジョータ(どんぐり飼育)」などの記載があれば、より高級なランクといえます。
以上、イベリコ豚はどこ産なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。