豚肉は、たんぱく質やビタミンB1をはじめとする栄養素を摂取できる、日常の食事に取り入れやすい食品です。
一方で、脂身の多い部位や加工肉を頻繁に食べると、脂質、エネルギー、塩分などの摂取量が多くなる可能性があります。
また、加熱が不十分な豚肉には、食中毒や感染症のリスクがあるため注意が必要です。
豚肉のメリットを生かすには、部位、量、調理方法、組み合わせる食品を意識することが大切です。
豚肉を食べるメリット
たんぱく質を摂取できる
豚肉には、筋肉、皮膚、臓器、血液、酵素などの材料になるたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は、成長期の子どもや運動をする人だけでなく、筋肉量を維持したい中高年や高齢者にとっても重要な栄養素です。
例えば、生の豚ロース赤肉には、100g当たり約20gのたんぱく質が含まれています。
ただし、実際の栄養成分は、豚の品種、部位、脂身の割合、調理方法などによって変わります。
脂質を抑えながらたんぱく質を摂取したい場合は、ヒレ、もも、脂身を除いたロースなどを選ぶとよいでしょう。
豚肉だけに偏らず、魚、卵、大豆製品、乳製品など、複数のたんぱく源を組み合わせることも大切です。
ビタミンB1を摂取しやすい
豚肉の代表的な栄養上の特徴は、ビタミンB1を比較的多く含んでいることです。
ビタミンB1は、食事から摂取した糖質をエネルギーとして利用する過程に関わっています。
そのため、ビタミンB1を不足なく摂取することは、正常なエネルギー代謝を維持するうえで重要です。
ただし、「豚肉を食べれば疲れがすぐに取れる」と断定することはできません。
疲労には、睡眠不足、ストレス、運動不足、過労、病気、エネルギー不足など、さまざまな原因が関係するためです。
豚肉は、疲労を直接治す食品ではなく、ビタミンB1を補える食品の一つとして考えるのが適切です。
複数のビタミンB群を補える
豚肉には、ビタミンB1のほか、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸なども含まれています。
これらの栄養素は、エネルギー代謝、赤血球の形成、皮膚や粘膜の健康維持などに関わっています。
ただし、豚肉だけですべてのビタミンを十分に摂取できるわけではありません。
特に、ビタミンCや食物繊維は豚肉からほとんど摂取できないため、野菜、果物、豆類、海藻類などを組み合わせる必要があります。
鉄や亜鉛などのミネラルを摂取できる
豚肉には、鉄、亜鉛、カリウム、リンなどのミネラルも含まれています。
鉄は赤血球中のヘモグロビンをつくるために必要で、亜鉛は味覚の維持、免疫機能、たんぱく質の合成などに関係します。
ただし、一般的な豚ロースや豚バラ肉は、鉄が特に多い食品というわけではありません。
鉄を多く摂取したい場合は、豚レバー、赤身の牛肉、貝類などのほうが効率的な場合があります。
豚レバーは鉄やビタミンAを多く含みますが、ビタミンAの過剰摂取には注意が必要です。
特に妊娠中や妊娠を希望している人は、レバーを日常的に大量摂取しないよう注意し、必要に応じて医師や管理栄養士に相談してください。
部位を選べば脂質を抑えやすい
豚肉は、部位によって脂質やエネルギー量が大きく異なります。
例えば、豚ロース赤肉は比較的脂質が少ない一方、豚バラ肉は脂身が多く、100g当たりのエネルギーも高くなります。
脂質を抑えたい場合に選びやすい部位は、次のとおりです。
・ヒレ
・もも赤肉
・ロース赤肉
・脂身を取り除いた肩肉
豚こま切れ肉は、特定の部位を示す名称ではありません。
肩、もも、バラなど複数の部位が使われることがあり、商品によって脂身の量が異なります。
豚こま切れ肉を購入する場合は、見た目に脂身が少ないものを選ぶとよいでしょう。
さまざまな食品と組み合わせやすい
豚肉は、キャベツ、白菜、玉ねぎ、ピーマン、もやし、きのこ、豆腐など、幅広い食品と組み合わせやすい食材です。
野菜、きのこ、海藻類などを一緒に食べることで、豚肉だけでは不足しやすい食物繊維、ビタミンC、カリウムなどを補えます。
豚肉だけを大量に食べるのではなく、主食、主菜、副菜を組み合わせることで、食事全体の栄養バランスを整えやすくなります。
豚肉を食べるデメリット
脂身の多い部位は高カロリーになりやすい
豚肉は、脂身の量によってエネルギーが大きく変わります。
特に豚バラ肉や脂身の多い肩ロースは、脂質とエネルギーが多くなりやすい部位です。
さらに、揚げ物、炒め油、砂糖の多いたれ、マヨネーズ、濃厚なソースなどが加わると、料理全体のエネルギー量は高くなります。
例えば、次のような料理は高カロリーになりやすいため、食べる量や頻度に注意が必要です。
・とんかつ
・豚バラ肉の角煮
・脂身の多い豚肉を使った丼物
・油を多く使った炒め物
・衣やソースを多く使う料理
体重を管理している場合は、豚肉の量だけでなく、部位、調理油、衣、たれの量まで確認することが大切です。
飽和脂肪酸を摂り過ぎる可能性がある
豚肉の脂身には、飽和脂肪酸が含まれています。
飽和脂肪酸の摂り過ぎは、血中のLDLコレステロールを高める要因になります。
ただし、豚肉を一度食べただけで健康に悪影響が生じるわけではありません。
脂身の多い肉、バター、生クリーム、菓子類などを含め、食事全体で飽和脂肪酸を摂り過ぎないようにする必要があります。
脂身の少ない部位を選び、魚、大豆製品、ナッツ類なども取り入れると、脂質のバランスを整えやすくなります。
ハムやベーコンなどは塩分が多くなりやすい
ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉には、保存性や風味を高めるために食塩が使われています。
そのため、生の豚肉を家庭で調理する場合よりも、塩分の摂取量が多くなりやすい傾向があります。
加工肉を食べる場合は、次のような工夫が有効です。
・栄養成分表示の食塩相当量を確認する
・食塩相当量が少ない商品を選ぶ
・料理に加える調味料を減らす
・毎日ではなく、食べる頻度を調整する
・野菜やきのこと組み合わせる
高血圧や腎臓病などで食塩制限を受けている人は、一般的な目安ではなく、医師や管理栄養士の指示を優先してください。
加工肉の習慣的な摂り過ぎには注意が必要
ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉については、習慣的な摂取量と大腸がんの発症リスクとの関連が報告されています。
国際がん研究機関は、加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」とするグループ1に分類しています。
ただし、この分類は、加工肉を少量食べただけで必ずがんになるという意味ではありません。
また、たばこと同じ程度の危険性があるという意味でもありません。
グループ分類は、発がん性を示す証拠の確かさを表すものであり、危険性の大きさを直接比較するものではないためです。
加工肉は日常的に大量摂取せず、食べる量や頻度を調整することが大切です。
生の豚肉、魚、卵、大豆製品などと入れ替えると、食事の偏りを防ぎやすくなります。
豚肉は国際的には赤肉に分類される
豚肉は見た目が比較的淡い色をしている場合がありますが、国際的な分類では、牛肉や羊肉と同じ赤肉に含まれます。
国際がん研究機関は、赤肉の摂取を「おそらくヒトに対して発がん性がある」とするグループ2Aに分類しています。
ただし、これは通常の食事で豚肉を一度食べるだけで危険になるという意味ではありません。
また、加工していない豚肉と、ハムやベーコンなどの加工肉では、分類や評価が異なります。
特定の食品だけを過度に恐れるのではなく、食べる量、頻度、調理法、食事全体のバランスを考えることが重要です。
高温で焦がし過ぎる調理には注意が必要
肉を高温で長時間焼いたり、直火で黒く焦がしたりすると、複素環式アミンや多環芳香族炭化水素などの物質が生成されることがあります。
ただし、通常の食事で生じる量が、人の健康にどの程度影響するかについては不確実な部分もあります。
焦げた肉を一度食べたからといって、直ちに健康被害が起こるわけではありません。
それでも、肉の表面を真っ黒に焦がす調理を頻繁に繰り返すことは避けたほうがよいでしょう。
焼く調理だけでなく、蒸す、ゆでる、煮るなどの方法も取り入れることが大切です。
生焼けでは食中毒や感染症の危険がある
豚肉には、細菌、ウイルス、寄生虫などが存在している可能性があります。
新鮮な豚肉であっても、生食や加熱不足が安全とは限りません。
豚肉を安全に食べるには、中心部まで十分に加熱する必要があります。
食中毒予防の一般的な目安は、肉の中心温度を75℃で1分間以上加熱することです。
特に注意が必要なのは、次のような豚肉料理です。
・豚ひき肉を使った料理
・厚切り肉
・骨付き肉
・肉巻き料理
・冷凍状態から加熱する肉
・電子レンジで加熱する料理
電子レンジは加熱むらが生じやすいため、途中で肉の位置を変えたり、裏返したりする必要があります。
また、肉の色や肉汁だけでは、安全な中心温度に達したかを確実に判断できません。
厚切り肉やひき肉料理では、料理用温度計を使って中心温度を確認すると、より安全です。
生肉からの二次汚染にも注意が必要
豚肉による食中毒を防ぐには、十分な加熱だけでなく、生肉からほかの食品への二次汚染を防ぐことも重要です。
生肉を扱った手、包丁、まな板、箸、トングなどには、細菌やウイルスが付着する可能性があります。
次の点を意識しましょう。
・生肉を触った後は石けんで手を洗う
・生肉用と食事用の箸やトングを分ける
・生肉を切った包丁やまな板を十分に洗浄する
・肉汁がサラダや調理済み食品に付かないようにする
・冷蔵庫内では生肉をほかの食品と分けて保存する
・購入後は早めに冷蔵または冷凍する
焼肉やバーベキューでは、生肉を扱うトングと、焼き上がった肉を取る箸を分けることが大切です。
豚肉に偏ると栄養バランスが崩れやすい
豚肉は栄養価の高い食品ですが、食物繊維やビタミンCはほとんど含まれていません。
豚肉ばかりを食べ、野菜、果物、豆類、海藻類、穀類などの摂取量が減ると、食物繊維や一部のビタミンが不足する可能性があります。
その結果、便通や食事全体の栄養バランスに影響することがあります。
また、豚肉中心の食生活では、魚から摂取できるEPAやDHA、大豆製品から摂取できる食物繊維などを取り入れる機会も少なくなります。
肉、魚、卵、大豆製品を日によって入れ替え、さまざまな食品を食べることが大切です。
豚肉のメリットを生かす食べ方
脂身の少ない部位を選ぶ
日常的に豚肉を食べる場合は、ヒレ、もも、ロース赤肉などを中心に選ぶと、脂質を抑えながらたんぱく質を摂取しやすくなります。
肩ロースやロースを使う場合も、目立つ脂身を切り落とすことで、脂質やエネルギーを減らせます。
豚バラ肉を使う場合は、肉の量を控えめにし、白菜、キャベツ、もやし、きのこ、豆腐などを加えると、料理全体のボリュームを保ちやすくなります。
食べる量は食事全体で調整する
豚肉の適量は、年齢、性別、体格、活動量、健康状態、ほかの料理との組み合わせによって異なります。
家庭料理では、1人分として生肉80~100g程度を使うことも多いですが、これはすべての人に共通する公式な推奨量ではありません。
同じ食事で卵、豆腐、納豆なども食べる場合は、豚肉の量を少なくして調整できます。
また、運動量が少ない人や減量中の人は、脂身の多い部位を避け、野菜や副菜を増やすとよいでしょう。
野菜やきのこを十分に組み合わせる
豚肉料理には、野菜、きのこ、海藻、豆類などを十分に組み合わせましょう。
これらの食品を加えることで、食物繊維、ビタミンC、カリウムなどを補いやすくなります。
おすすめの組み合わせには、次のようなものがあります。
・豚肉とキャベツの蒸し物
・豚肉と白菜の重ね煮
・豚肉とピーマンの炒め物
・豚肉ときのこのしょうが焼き
・豚しゃぶサラダ
・豚肉と豆腐の煮物
・豚肉と野菜のスープ
炒め物では油を入れ過ぎず、豚肉から出た脂をキッチンペーパーで取り除く方法もあります。
加工肉より生の豚肉を優先する
ハム、ベーコン、ソーセージは調理しやすく便利ですが、塩分や脂質が多くなりやすい食品です。
加工肉が毎日の食事に続いている場合は、一部を次のような食品に置き換えるとよいでしょう。
・ゆでた豚肉
・蒸し豚
・焼き魚
・ゆで卵
・納豆
・豆腐
・塩分を控えて蒸した鶏肉
市販品を選ぶ場合は、「健康的」「低脂肪」などの表示だけで判断せず、栄養成分表示の食塩相当量や脂質量を確認することが大切です。
調理法を使い分ける
豚肉料理を毎回揚げ物や強火の炒め物にすると、調理油や衣によって脂質とエネルギーが増えやすくなります。
蒸す、ゆでる、煮る、焼くなどの調理法を使い分けましょう。
特に、豚しゃぶ、蒸し豚、野菜との重ね蒸しなどは、追加する油を抑えやすい調理法です。
ただし、蒸したりゆでたりしても、豚肉そのものの脂質がすべて取り除かれるわけではありません。
調理法だけでなく、部位選びと食べる量も意識する必要があります。
持病や食事制限がある場合は専門家に相談する
脂質異常症、高血圧、腎臓病、糖尿病などで食事療法を行っている人は、一般的な食べ方がそのまま当てはまるとは限りません。
豚肉の部位、量、味付け、加工肉の頻度などについて、医師や管理栄養士から指示を受けている場合は、その内容を優先してください。
豚肉アレルギーがある人は、豚肉や豚由来の成分を含む食品を避ける必要があります。
豚肉を食べるメリットとデメリットのまとめ
豚肉の主なメリットは、たんぱく質やビタミンB1をはじめとするビタミンB群を摂取できることです。
ヒレ、もも、ロース赤肉などの脂身が少ない部位を選べば、脂質を抑えながらたんぱく質を補いやすくなります。
一方で、豚バラ肉や脂身の多い部位は、脂質とエネルギーが多くなりやすい点に注意が必要です。
ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉は、塩分が多くなりやすく、習慣的な大量摂取は避けたほうがよいでしょう。
また、豚肉は生食せず、中心部まで十分に加熱することが欠かせません。
生肉を扱った手や調理器具から、ほかの食品に病原体を移さないことも重要です。
豚肉を健康的に取り入れるポイントは、脂身の少ない部位を適量選び、野菜やきのこなどを組み合わせ、魚、卵、大豆製品などほかの主菜もバランスよく食べることです。
以上、豚肉を食べるメリットとデメリットについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
