ビタミンB12は、水に溶ける水溶性ビタミンの一種です。
赤血球の形成やDNAの合成、神経機能の維持などに関わっており、健康な体を保つために欠かせない栄養素です。
主に肉類、魚介類、卵、乳製品などの動物性食品に含まれています。
豚肉からも摂取できますが、一般的な豚肉に含まれる量はそれほど多くありません。
一方、豚レバーには非常に多くのビタミンB12が含まれています。
豚肉に含まれるビタミンB12の量
一般的な豚肉には100g当たり約0.3~0.6μg含まれる
生の一般的な豚肉に含まれるビタミンB12の量は、100g当たりおよそ0.3~0.6μgです。
主な部位に含まれる量は、次のとおりです。
| 豚肉の部位・種類 | ビタミンB12量 |
|---|---|
| 豚もも・脂身付き・生 | 0.3μg |
| 豚ばら・脂身付き・生 | 0.5μg |
| 豚肩ロース・脂身付き・生 | 0.5μg |
| 豚ヒレ・赤肉・生 | 0.5μg |
| 豚ひき肉・生 | 0.6μg |
| 豚レバー・生 | 25.0μg |
表の数値は、主に大型種肉の可食部100g当たりの値です。
実際の含有量は、豚の品種や部位、脂身の有無、調理方法などによって異なります。
また、加熱すると肉の水分が減るため、加熱後は100g当たりの含有量が生肉より多く見える場合があります。
豚レバーにはビタミンB12が非常に多い
豚レバーには、100g当たり25.0μgのビタミンB12が含まれています。
一般的な豚肉と比べると、非常に多い量です。
例えば、豚レバーを20g食べた場合は、計算上約5.0μgのビタミンB12を摂取できます。
ただし、豚レバーにはビタミンAも多く含まれています。
ビタミンB12が多いからといって、毎日大量に食べる必要はありません。
ほかの食品と組み合わせながら、適量を取り入れることが大切です。
ビタミンB12の主な働き
赤血球の形成を助ける
ビタミンB12は、正常な赤血球をつくるために必要な栄養素です。
葉酸と協力しながら、骨髄で赤血球が成熟する過程を支えています。
ビタミンB12が不足すると、正常な赤血球をつくりにくくなり、巨赤芽球性貧血を引き起こすことがあります。
その結果、疲れやすさ、だるさ、息切れ、動悸、めまいなどが現れる場合があります。
DNAの合成に関わる
ビタミンB12は、細胞の遺伝情報を担うDNAの合成にも関わっています。
人間の体では、血液や皮膚、粘膜などの細胞が日々つくり替えられています。
ビタミンB12は、こうした細胞分裂や新陳代謝を正常に進めるために重要です。
神経機能を正常に保つ
ビタミンB12は、神経細胞の働きを維持する役割も担っています。
神経を覆って保護する髄鞘の形成や維持に関わるため、不足状態が長く続くと神経症状が現れる可能性があります。
代表的な症状には、手足のしびれ、感覚の低下、筋力低下、歩行の不安定さなどがあります。
アミノ酸や脂肪酸由来成分の代謝を助ける
ビタミンB12は、体内で補酵素として働き、特定のアミノ酸や脂肪酸由来成分の代謝を助けます。
特に、ホモシステインを別の物質へ変換する反応や、メチルマロン酸に関係する代謝反応に必要です。
ビタミンB12が不足すると、血液中のホモシステインやメチルマロン酸が増えることがあります。
ビタミンB12の1日の摂取目安
成人の目安量は1日4.0μg
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の男女におけるビタミンB12の目安量は、1日4.0μgです。
妊婦や授乳婦についても、1日4.0μgが目安量とされています。
ここでいう目安量とは、一定の栄養状態を維持するために十分と考えられる摂取量です。
推奨量ではなく、目安量として設定されている点を理解しておきましょう。
一般的な豚肉100gだけでは目安量に届きにくい
ビタミンB12を0.3μg含む豚肉を100g食べた場合、成人の目安量4.0μgに対して約7.5%を摂取できます。
0.5μg含む豚肉では約12.5%、0.6μg含む豚ひき肉では約15%です。
そのため、一般的な豚肉だけで必要量を補うのは難しいといえます。
魚介類、卵、牛乳、チーズなど、ほかの動物性食品も組み合わせることが大切です。
ビタミンB12が不足しやすい人
動物性食品をほとんど食べない人
ビタミンB12は、主に動物性食品に含まれています。
肉、魚、卵、乳製品をほとんど食べない人は、不足しやすくなる可能性があります。
特に、動物性食品を完全に避ける食生活を長期間続ける場合は、意識して摂取方法を考える必要があります。
植物性食品の中にもビタミンB12に似た成分を含むものがありますが、体内で有効に利用できない類似化合物である場合もあります。
高齢者
高齢になると、胃酸の分泌量が低下し、食品中のビタミンB12を吸収しにくくなることがあります。
ビタミンB12は、食品中ではたんぱく質と結合しています。
胃酸などの働きによってたんぱく質から切り離された後、胃から分泌される内因子と結び付き、小腸で吸収されます。
そのため、食事から十分に摂取していても、消化や吸収の状態によって不足する場合があります。
胃や小腸に病気がある人
胃を切除した人や、胃や小腸に病気がある人も、ビタミンB12を吸収しにくくなる可能性があります。
また、内因子が不足する悪性貧血では、食事から摂ったビタミンB12を十分に吸収できません。
このような吸収障害が原因の場合は、食事を見直すだけでは改善しにくいことがあります。
不足が疑われる場合は、自己判断でサプリメントや豚レバーを大量に摂るのではなく、医療機関に相談することが大切です。
ビタミンB12が不足したときの症状
貧血に関係する症状
ビタミンB12が不足すると、正常な赤血球をつくれなくなり、巨赤芽球性貧血を起こすことがあります。
主な症状は、次のとおりです。
・疲れやすい。
・体がだるい。
・息切れがする。
・動悸がする。
・めまいがする。
・顔色が悪くなる。
・舌が赤くなったり、痛くなったりする。
これらの症状は、ほかの病気でも現れることがあります。
症状だけでビタミンB12不足と判断することはできません。
手足のしびれなどの神経症状
ビタミンB12不足では、貧血だけでなく神経症状が現れる場合があります。
主な症状は、手足のしびれ、感覚の鈍化、筋力低下、歩行の不安定さ、記憶力や集中力の低下などです。
神経症状は、貧血が目立たない状態でも起こることがあります。
長期間放置すると回復しにくくなる可能性があるため、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
ビタミンB12は体内に蓄えられる
水溶性ビタミンでもすぐに不足するとは限らない
ビタミンB12は水溶性ビタミンですが、肝臓などに比較的多く蓄えられます。
そのため、摂取量が減っても、すぐに欠乏症状が現れるとは限りません。
食生活や吸収状態によっては、不足が表面化するまで数年かかることもあります。
症状がすぐに出ないからといって、長期間の摂取不足を放置してよいわけではありません。
動物性食品をほとんど食べない場合や、吸収障害のリスクがある場合は注意が必要です。
ビタミンB12は摂り過ぎても問題ないのか
耐容上限量は設定されていない
ビタミンB12には、過剰摂取による健康障害を示す十分な根拠がないことから、耐容上限量が設定されていません。
通常の食事から摂取する範囲では、過剰摂取の心配はほとんどないと考えられています。
一度に多く摂取しても、すべてが吸収されるわけではありません。
ただし、耐容上限量がないことは、サプリメントを大量に摂るほど健康効果が高まるという意味ではありません。
治療目的で高用量のビタミンB12を摂取する場合や、サプリメントを継続して使用する場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
豚肉からビタミンB12を摂るときのポイント
魚介類や卵などと組み合わせる
一般的な豚肉に含まれるビタミンB12は、100g当たり約0.3~0.6μgです。
豚肉はたんぱく質やビタミンB1などを摂れる優れた食品ですが、ビタミンB12の含有量は魚介類やレバーほど多くありません。
ビタミンB12をバランスよく摂るためには、魚、貝類、卵、牛乳、チーズなども食事に取り入れましょう。
一つの食品だけに頼らず、複数の食品を組み合わせることが大切です。
豚レバーは少量を適度に食べる
豚レバーは、ビタミンB12を効率よく摂取できる食品です。
ただし、ビタミンAや鉄なども多く含まれているため、日常的に大量に食べる必要はありません。
特に妊娠中は、レバーに多く含まれるレチノール型ビタミンAの過剰摂取に注意が必要です。
食べる量や頻度に迷う場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談しましょう。
豚肉や豚レバーは十分に加熱する
豚肉や豚レバーは、生や加熱不十分な状態で食べると、食中毒や感染症の原因になる可能性があります。
ビタミンB12を多く残そうとして加熱を控えるのではなく、安全性を優先することが重要です。
中心部まで十分に火を通してから食べましょう。
まとめ
ビタミンB12は、赤血球の形成、DNAの合成、神経機能の維持、特定のアミノ酸や脂肪酸由来成分の代謝などに関わる栄養素です。
生の一般的な豚肉には、100g当たり約0.3~0.6μgのビタミンB12が含まれています。
成人の目安量は1日4.0μgであるため、通常の豚肉だけで補うのではなく、魚介類や卵、乳製品などと組み合わせることが大切です。
豚レバーには100g当たり25.0μgと非常に多く含まれていますが、ビタミンAも多いため、適量を意識して取り入れましょう。
また、胃や小腸の病気、加齢などによって吸収しにくくなることもあります。
疲労感や手足のしびれなどの症状がある場合は、自己判断で食品やサプリメントを大量に摂取せず、医療機関に相談することが大切です。
以上、豚肉に含まれるビタミンB12についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
