豚肉は、世界中で非常に愛されている食材で、各国や地域ごとに「定番」とされる豚料理が数多くあります。
豚肉の風味や食感、そして脂肪の豊かさは、さまざまな調理法や味付けに適しており、焼く、煮る、揚げる、燻製するなど、料理の幅が広いのが特徴です。
以下では、世界各地の定番豚料理を詳しく紹介し、その背景や調理法について説明します。
トンカツ(日本)

トンカツは、日本を代表する定番の豚料理の一つで、豚肉を使ったカツレツです。
豚ロースや豚ヒレにパン粉をまぶして揚げるこの料理は、外側のサクサク感と内側のジューシーな豚肉のコントラストが特徴です。
- 調理法: 豚肉を厚めにカットし、塩コショウで下味を付けた後、小麦粉、溶き卵、パン粉を順につけて揚げます。中温の油でじっくりと揚げることで、外はサクサク、中はジューシーに仕上げます。揚げたてのトンカツには特製ソースをかけて、ご飯やキャベツの千切りと一緒に提供されるのが定番です。
- バリエーション: 味噌をかける「味噌カツ」や、さっぱりとしたポン酢で食べるもの、カレーと一緒に食べる「カツカレー」など、多様な食べ方があります。
シュニッツェル(オーストリア/ドイツ)
シュニッツェルは、オーストリアやドイツで広く食べられている豚肉のカツレツ料理です。
特に「ウィーン風シュニッツェル(Wiener Schnitzel)」は、伝統的な料理として有名ですが、豚肉を使った「シュヴァインシュニッツェル(Schweineschnitzel)」も非常に人気です。
- 調理法: 薄切りにした豚肉をたたいて薄く伸ばし、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、バターで揚げ焼きにします。レモンを添えて提供されることが多く、レモンの酸味がカリッと揚がった豚肉に爽やかさを加えます。
- 付け合わせ: ジャガイモサラダ、フライドポテト、クランベリーソースなどが一般的で、ビールとの相性が抜群です。
プルドポーク(アメリカ)
プルドポークは、アメリカ南部のバーベキューの定番料理で、特にバーベキューソースと一緒にサンドイッチとして食べられることが多いです。
豚の肩肉やバラ肉を低温で長時間燻製して調理するため、ほろほろと崩れるほど柔らかい仕上がりになります。
- 調理法: 豚肩肉を低温でじっくりと燻製しながら火を通します。調理には6~12時間かかることがあり、スモーキーな香りが特徴です。調理後、肉をほぐしてバーベキューソースをかけ、サンドイッチやタコスなどにして食べます。
- バリエーション: アメリカの地域ごとにバーベキューソースの味が異なり、カロライナでは酢とトマトをベースにした酸味の強いソースが、テキサスではスパイシーで濃厚なソースが好まれます。
ハモン・イベリコ(スペイン)

ハモン・イベリコは、スペインを代表する豚肉の加工食品で、最高級の生ハムです。
イベリコ豚は、ドングリを食べて育つため、ナッツのような甘みが特徴で、そのままスライスして前菜として食べられることが多いです。
- 調理法: 豚の後脚を塩漬けにして乾燥させ、長期間(1年から3年以上)かけて熟成させます。熟成が進むほど、深い風味が生まれます。薄くスライスして、オリーブオイルやパンとともに食べるのが一般的です。
- バリエーション: ハモン・セラーノ(白豚を使った生ハム)もありますが、イベリコ豚を使ったものはより高級品として扱われます。
回鍋肉(中国
回鍋肉(ホイコーロー)は、中国四川料理の定番で、豚肉とキャベツをピリ辛の豆板醤で炒めた料理です。
一度茹でた豚肉を再度炒めることから「回鍋(再度調理)」という名前がついています。
- 調理法: 豚のバラ肉を一度茹でてからスライスし、豆板醤、甜麺醤、醤油、ニンニク、しょうがなどで炒めます。キャベツやピーマンなどの野菜を加えてシャキシャキ感を残しつつ炒めることで、辛味と甘み、野菜の歯ごたえが楽しめます。
- 特徴: 豆板醤のピリ辛さが豚肉の脂と絡み、非常に濃厚な味わい。ご飯のおかずとしても人気が高い料理です。
レチョン(フィリピン)
レチョンは、フィリピンの豚の丸焼きで、特に祝祭や特別なイベントで提供される料理です。
豚の外側はパリパリ、中はジューシーな仕上がりが特徴で、レモングラスやスパイスを詰めて焼き上げます。
- 調理法: 豚を丸ごと使用し、レモングラス、タマネギ、スパイスを豚の内部に詰め、炭火でじっくりと回転させながら焼きます。皮はパリパリに焼き上がり、内部の肉は柔らかく、香ばしい風味が楽しめます。
- 提供方法: 丸ごと焼かれたレチョンは、家族やゲストと分け合って食べるのが一般的です。ソースとして、甘辛いレチョンソースをかけることもあります。
ポルケッタ(イタリア)
ポルケッタは、イタリアの中部地方を代表する豚肉料理で、豚のローストをハーブとともに焼き上げた料理です。
豚肉の内部にローズマリーやフェンネルシード、ガーリックを詰め、香ばしく焼き上げます。
- 調理法: 豚肉の塊をローズマリーやフェンネルなどのハーブでマリネし、じっくりとローストします。外はカリッと香ばしく、中はしっとりとジューシーに仕上がります。
- バリエーション: イタリアでは、ポルケッタはサンドイッチにして食べることも多く、特に野外のフェスティバルやイベントで提供されることが一般的です。
カスレ(フランス)
カスレは、豚肉、ソーセージ、鴨肉、白いんげん豆を使ったフランス南西部の煮込み料理で、寒い季節に特に人気があります。濃厚で食べ応えのある一品です。
- 調理法: 白いんげん豆と豚肉、鴨肉、ソーセージを一緒に煮込み、パン粉を乗せてオーブンで焼き上げます。じっくりと時間をかけて煮込むことで、豆に肉の旨味が染み込み、濃厚な味わいになります。
- 特徴: フランスの伝統的な家庭料理で、特に冬に食べられることが多いです。煮込み料理ならではの深い味わいと、肉の旨味が絶妙なバランスを生み出します。
サムギョプサル(韓国)
サムギョプサルは、韓国の焼肉料理の定番で、豚バラ肉を厚切りにして焼き、サンチュやエゴマの葉で巻いて食べます。
さまざまな調味料と合わせて食べるスタイルが特徴的です。
- 調理法: 厚切りの豚バラ肉を鉄板で焼き、脂を落としながらカリッとした食感に仕上げます。焼きあがった豚肉を、ニンニク、ネギサラダ、コチュジャンなどと一緒にサンチュで包んで食べます。
- 付け合わせ: キムチやピクルス、各種野菜とともに提供されるのが一般的で、さっぱりとした野菜との相性が豚肉の脂っこさを軽減してくれます。
シュヴァイネハクセ(ドイツ)
シュヴァイネハクセは、ドイツ・バイエルン地方を代表する豚肉料理で、豚のすね肉をじっくりローストしたものです。
皮がカリカリで、中はジューシーな食感が楽しめます。
- 調理法: 豚のすね肉を塩とスパイスで下味を付け、低温でじっくりとローストします。最後に高温で焼き上げ、皮をパリパリに仕上げます。ビールと一緒に提供されることが多いです。
- 付け合わせ: ザワークラウト(発酵キャベツ)、ジャガイモ料理が定番で、ビールとの相性が抜群です。
豚料理の定番まとめ
豚肉は、その多彩な風味と調理法の幅広さから、世界各国でさまざまな「定番料理」として愛されています。
トンカツやシュニッツェルのような揚げ物、レチョンやシュヴァイネハクセのようなロースト料理、プルドポークやカスレのような煮込み料理など、どの国でも豚肉の魅力を最大限に引き出す工夫が施されています。
豚肉は脂肪の旨味を活かした料理が多く、各国の食文化や調理法に深く根付いていることがわかります。
以上、豚料理の定番についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。