角煮を圧力鍋で作る際に下茹でする理由
圧力鍋で角煮を作る場合、豚バラ肉を調味料で煮る前に下茹でしておくと、脂っこさや雑味を抑えやすくなります。
下茹では必須ではありませんが、豚バラ肉には脂身が多いため、すっきりと食べやすい角煮に仕上げたい場合には有効な工程です。
圧力鍋は短時間で肉をやわらかくできる一方、余分な脂やアクまで自動的に取り除いてくれるわけではありません。
そのため、仕上がりを軽くしたい場合は、味付け前に下茹でしておくとよいでしょう。
余分な脂を減らせる
豚バラ肉は赤身と脂身が層になっており、加熱すると多くの脂が溶け出します。
最初から醤油や砂糖などを加えて煮込むと、溶けた脂が調味液に残り、全体的に重たい味になることがあります。
先に水で下茹でしておけば、溶け出した脂の一部を茹で汁と一緒に取り除けます。
脂身そのものがなくなるわけではありませんが、こってりしすぎない角煮に仕上げやすくなります。
アクや雑味を減らせる
豚肉を加熱すると、肉に含まれるたんぱく質などに由来するアクが出てきます。
下茹での段階でアクを取り除いておけば、味付け後の煮汁が濁りにくくなり、雑味の少ない味に仕上げやすくなります。
豚肉特有のにおいが気になる場合にも、下茹では有効です。
ただし、臭みを完全に取り除けるわけではなく、風味を穏やかにするための下処理と考えるとよいでしょう。
肉をやわらかくできる
下茹でには、脂やアクを落とすだけでなく、豚肉をやわらかくする役割もあります。
豚バラ肉に含まれる結合組織のコラーゲンは、加熱によって徐々にゼラチン化していきます。
圧力鍋では通常の鍋より高い温度で加熱できるため、比較的短時間でもやわらかな食感に仕上げやすいのが特徴です。
ただし、下茹で後にも味付けして加熱するため、最初の段階で肉をやわらかくしすぎると崩れやすくなります。
圧力鍋で角煮を下茹でする基本的な方法
圧力鍋を使った下茹では、一般的な鍋で長時間煮込む方法に比べて短時間で行えます。
ただし、圧力や加熱方法は製品によって異なるため、実際の加圧時間や減圧方法については、必ず使用している圧力鍋の取扱説明書や公式レシピを確認してください。
豚バラ肉を大きめに切る
豚バラブロックは、完成時に食べたい大きさより少し大きめに切ります。
煮込むと肉が縮むため、最初から小さく切ると、完成時に想像以上に小さくなることがあります。
4〜5cm程度の大きさに切る方法が一般的ですが、ブロックのまま下茹でし、やわらかくなってから切る方法もあります。
ブロックのまま加熱すると形が崩れにくく、切り分けた断面もきれいになりやすいのがメリットです。
豚肉と水を圧力鍋に入れる
圧力鍋に豚肉を入れ、肉が十分に浸かる程度の水を加えます。
好みに応じて、しょうがの薄切りや長ねぎの青い部分などを加えてもよいでしょう。
こうした香味野菜を使うことで、豚肉特有のにおいを感じにくくできます。
下茹では味付けの工程ではないため、基本的に醤油や砂糖、みりんなどを加える必要はありません。
メーカー指定の方法で加圧する
豚肉と水を入れたら蓋を閉め、使用している圧力鍋に適した方法で加熱します。
圧力鍋は、製品によって圧力の強さや加熱性能が異なります。
また、豚肉の大きさや量、下茹で後の加熱方法によっても適切な加圧時間は変わります。
そのため、「必ず15分」「必ず30分」のように一律に決めるのではなく、メーカーが公開している豚の角煮や豚バラ肉料理のレシピを基準に調整することが大切です。
圧力が完全に下がってから蓋を開ける
加圧が終わったら、使用している圧力鍋の説明書に従って減圧します。
角煮では自然に圧力が下がるまで待つ方法もよく使われますが、すべての圧力鍋で自然減圧が必須というわけではありません。
製品によっては蒸気を排出して減圧する方法が指定されている場合もあります。
圧力表示ピンなどを確認し、鍋内部の圧力が完全に抜けてから蓋を開けてください。
圧力が残った状態で無理に蓋を開けるのは非常に危険です。
参考サイト
圧力鍋を安全に正しく使用しましょう! ―入れ過ぎに注意、蓋の洗浄が重要です―|消費者庁
下茹でした後の処理も重要
下茹でが終わったら、そのまま味付けするのではなく、いったん豚肉と茹で汁を分けると、よりすっきりした角煮に仕上げやすくなります。
豚肉の表面を軽く洗う
下茹でした豚肉の表面には、アクや細かな汚れが付着していることがあります。
肉を取り出したら、ぬるま湯などで表面をさっと洗うとよいでしょう。
圧力調理後の豚肉は非常にやわらかくなっている場合があるため、強くこすらないことが大切です。
表面に付着したアクを軽く流す程度で十分です。
下茹で汁は基本的に捨てるとすっきり仕上がる
下茹で汁には豚肉の旨味も含まれていますが、同時に脂やアクも多く含まれています。
脂っこさや雑味を抑えたい場合は、下茹で汁を捨て、新しい水やだしを使って味付けする方法が分かりやすくおすすめです。
下茹で汁を再利用することもできますが、その場合は浮いた脂やアクを十分に取り除いてから使用します。
下茹でに米のとぎ汁を使ってもよい?
一般的な鍋を使った豚肉の下茹ででは、米のとぎ汁を使う方法が知られています。
しかし、圧力鍋では注意が必要です。
通常の鍋では米のとぎ汁を使う方法もある
米のとぎ汁にはデンプンなどが含まれており、昔から豚肉や根菜などの下茹でに利用されることがあります。
豚肉を米のとぎ汁で茹でることで、脂っこさや独特のにおいを抑えようとする調理法もあります。
ただし、角煮をおいしく作るために米のとぎ汁が必須というわけではありません。
水だけでも十分に下茹でできます。
圧力鍋では米やとぎ汁の使用に注意する
圧力鍋では、蒸気口や圧力調整機構が正常に働くことが非常に重要です。
米のとぎ汁や米はデンプンを含み、加熱によって粘りが出る可能性があります。
機種によっては、とろみや粘りのある材料を圧力調理に使用しないよう注意されていることがあります。
そのため、圧力鍋で角煮を下茹でする場合は、基本的には水を使用するのが安全です。
米のとぎ汁や生米を使いたい場合は、使用している圧力鍋の取扱説明書を確認し、メーカーが使用を認めている場合に限って使用するようにしましょう。
下茹では水から始めるべき?
角煮の下茹ででは、豚肉を水から加熱する方法も、沸騰した湯に入れる方法もあります。
どちらか一方だけが正しいというわけではありません。
水から加熱する方法は一般的
豚肉と水を一緒に鍋へ入れ、徐々に温度を上げながら下茹でする方法は、家庭でもよく使われます。
脂やアクなどを取り除くことを目的とした下処理として使いやすい方法です。
ただし、使用している圧力鍋の公式レシピで方法が指定されている場合は、その手順を優先してください。
加圧前にアクを取る方法もある
圧力鍋は蓋を閉めて加圧すると、途中でアクを取り除くことができません。
そのため、通常加熱に対応している圧力鍋であれば、蓋をせずに一度加熱してアクを取り、その後に蓋を閉めて加圧する方法もあります。
ただし、電気圧力鍋の場合は、蓋を開けたまま自由に加熱できない機種もあります。
「炒め」「煮込み」などのモードが用意されているかを確認し、必ず製品の取扱説明書に従ってください。
下茹で前に豚肉を焼いてもよい?
角煮では、豚バラ肉の表面を焼いてから下茹でする方法もあります。
焼き目を付けると香ばしくなる
豚肉の表面をフライパンなどで焼くと、焼き目による香ばしい風味が加わります。
また、脂身から脂が溶け出すため、その脂を捨てれば最終的な脂の量をある程度減らすこともできます。
焼く工程と下茹では役割が異なる
豚肉を焼くことと下茹ですることは、目的が異なります。
焼く主な目的は、香ばしい風味を付けることです。
一方、下茹では、脂やアクを減らし、豚肉の風味をすっきりさせる目的があります。
そのため、より丁寧に作る場合は、「表面を焼く→下茹でする→味付けする」という順番でも問題ありません。
圧力鍋なら下茹でを省略してもよい?
圧力鍋で角煮を作る場合でも、下茹では必須ではありません。
調理時間を短くしたい場合は、豚肉をそのまま調味液と一緒に加圧する方法もあります。
時短を重視するなら省略できる
下茹でを省略すれば、工程を一つ減らせるため、短時間で角煮を作りやすくなります。
豚肉から出た脂や旨味も煮汁に残りやすいため、濃厚でこってりとした味を好む人には向いています。
ただし、煮汁に脂が多く浮いたり、アクや雑味が残りやすくなったりすることがあります。
脂っこさを抑えたいなら下茹でがおすすめ
すっきりした煮汁や、脂っこすぎない角煮を作りたい場合は、味付け前に下茹でする方がおすすめです。
特に脂身の多い豚バラ肉を使う場合は、下茹でによる違いを感じやすくなります。
下茹での加圧時間が長すぎるとどうなる?
圧力鍋は短時間でも肉をやわらかくできるため、加圧時間が長すぎると豚肉が崩れることがあります。
肉がやわらかくなりすぎる
豚肉の結合組織に含まれるコラーゲンは、加熱によってゼラチン化します。
角煮ではこの変化によって、ほろほろとしたやわらかな食感が生まれます。
一方で、加熱しすぎると肉の組織が崩れ、箸で持ち上げただけでバラバラになることがあります。
味付け後の加熱時間も考慮する
角煮は、下茹でが終わった後に醤油や砂糖、酒などを加えてさらに加熱します。
そのため、下茹での段階ですでに完全にやわらかくしてしまうと、味付け後の加熱で崩れやすくなります。
最終的な仕上げまで含めて加熱時間を考えることが重要です。
下茹で後は調味料を加えて仕上げる
下茹でが終わったら、豚肉に醤油、砂糖、酒、水やだしなどを加えて味付けします。
再加圧は肉の状態に合わせて調整する
下茹でですでに豚肉が十分にやわらかくなっている場合、味付け後に長時間加圧する必要はありません。
短時間だけ再加圧したり、圧力をかけずに通常加熱で煮込んだりする方法があります。
どの方法が適しているかは、使用する圧力鍋や肉の状態によって異なります。
最後に煮詰めると照りを出しやすい
圧力調理では水分が蒸発しにくいため、仕上げの煮汁が多く残ることがあります。
角煮にしっかりとした味や照りを付けたい場合は、圧力調理後に蓋を外し、通常加熱で煮汁を煮詰めると調整しやすくなります。
ただし、電気圧力鍋の場合は通常加熱に対応しているモードを使用してください。
一度冷ますと角煮の味がなじみやすい
角煮は完成後すぐに食べることもできますが、煮汁につけたまま一度冷ますと、全体の味がなじみやすくなります。
「煮物は冷めるときだけ味が染み込む」と単純に考えるのは正確ではありません。
味の成分は加熱中にも移動しており、煮汁につけておく時間が長くなることで、味が均一になりやすくなります。
また、冷蔵庫でしっかり冷やすと豚肉から出た脂が表面で固まります。
固まった脂を取り除いてから温め直せば、より脂っこさを抑えた角煮に仕上げられます。
参考サイト
煮込み料理を楽しむために~ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!!~|農林水産省
圧力鍋で角煮を作る場合の下茹での流れ
圧力鍋を使って、脂っこすぎないやわらかな角煮を作る場合は、次のような流れで調理すると分かりやすいでしょう。
1.豚バラ肉を大きめに切る
加熱によって縮むことを考え、やや大きめに切ります。
2.好みに応じて表面を焼く
香ばしさを加えたい場合は、豚肉の表面に焼き目を付けます。
3.豚肉と水を圧力鍋に入れる
好みに応じて、しょうがや長ねぎの青い部分なども加えます。
4.メーカー指定の方法で加圧する
加圧時間は機種によって異なるため、取扱説明書や公式レシピを参考にします。
5.適切な方法で減圧する
自然減圧またはメーカーが指定する方法で圧力を抜きます。
6.豚肉を取り出す
表面にアクが残っている場合は、ぬるま湯などで軽く洗います。
7.下茹で汁を処理する
すっきりした仕上がりを目指す場合は、下茹で汁を捨てます。
8.調味料を加えて味付けする
醤油、砂糖、酒、水やだしなどを使って煮込みます。
9.肉の状態に応じて再加熱する
必要に応じて短時間加圧するか、通常加熱で味をなじませます。
10.必要に応じて煮汁を煮詰める
最後に煮汁を煮詰めると、濃度や照りを調整できます。
圧力鍋での下茹では仕上がりを左右する重要な工程
圧力鍋で角煮を作る際の下茹では、単に豚肉をやわらかくするためだけの工程ではありません。
余分な脂を減らし、アクや雑味を取り除き、豚肉特有のにおいを穏やかにしながら、肉をやわらかくする役割があります。
下茹では必須ではないものの、脂っこさを抑えた食べやすい角煮に仕上げたい場合にはおすすめです。
一方で、圧力鍋は機種によって圧力、加圧時間、減圧方法、使用できる材料などが異なります。
特に米や米のとぎ汁、とろみのある材料などを圧力調理に使用する場合は注意が必要です。
一般的な鍋のレシピをそのまま圧力鍋に流用せず、必ず使用している製品の取扱説明書を確認してください。
安全性を優先しながら下茹でと味付けの加熱時間を調整することで、やわらかく、脂っこすぎない角煮に仕上げやすくなります。
以上、角煮を圧力鍋で作る際の下茹でについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
