角煮の茹でこぼしとは
角煮の茹でこぼしとは、豚バラ肉をいったん茹でたあと、その茹で汁を捨てる下処理のことです。
豚バラ肉は脂が多く、加熱すると脂やアクが茹で汁に出てきます。
そのため、本格的に味付けする前に茹でこぼしを行うことで、余分な脂やアクを減らし、比較的すっきりとした味わいの角煮に仕上げやすくなります。
ただし、角煮では必ず茹で汁を捨てなければならないわけではありません。
レシピによっては、下茹で汁の脂やアクを取り除き、その一部を本煮込みに利用する場合もあります。
角煮を茹でこぼす目的
余分な脂を減らす
角煮に使われる豚バラ肉には、赤身とともに多くの脂身が含まれています。
豚バラ肉を茹でると脂の一部が茹で汁へ溶け出すため、その茹で汁を捨てることで、本煮込みに持ち込まれる脂の量を減らせます。
角煮らしいコクを残しながらも、脂っこさを抑えたい場合に有効な下処理です。
アクを取り除く
豚肉を加熱すると、表面に白色や灰色の泡状のアクが浮いてくることがあります。
茹でこぼしたあとに豚肉の表面を軽く洗えば、付着したアクや余分な脂も取り除きやすくなります。
煮汁に余計なアクや脂が入りにくくなるため、仕上がりもすっきりしやすくなります。
豚肉特有のにおいを抑えやすくする
豚肉のにおいが気になる場合にも、茹でこぼしは役立ちます。
最初の茹で汁を捨てることで、脂やアクなどとともに、においの原因となる成分の一部も取り除きやすくなります。
ただし、アクそのものがすべて臭みの原因というわけではありません。
「茹でこぼすことで、脂っこさや雑味、においを抑えやすくなる」と考えるとよいでしょう。
角煮の基本的な茹でこぼし方法
1.豚バラ肉を用意する
豚バラブロックを食べやすい大きさに切ります。
角煮は加熱すると縮むため、完成時に食べたい大きさよりも少し大きめに切っておくとよいでしょう。
なお、必ず切ってから下茹でする必要はありません。
ブロックのまま下茹でし、そのあとで食べやすい大きさに切る方法もあります。
2.鍋に豚肉と水を入れる
鍋に豚肉を入れ、肉が十分に浸かる程度の水を加えます。
水から加熱する方法が一般的ですが、レシピによっては沸騰した湯に豚肉を入れて、短時間だけ湯通しする方法もあります。
どちらが絶対に正しいというわけではありません。
3.加熱してアクや脂を出す
鍋を中火にかけ、沸騰させます。
加熱していくと、表面にアクや脂が浮いてきます。
短時間の湯通しを目的とする場合は、豚肉の表面の色が変わる程度まで加熱します。
一方、肉を柔らかくするための下茹でも兼ねる場合は、より長く加熱することがあります。
加熱時間は、肉の大きさや調理器具、その後の煮込み時間によって変わります。
4.茹で汁を捨てる
豚肉をザルなどに取り出し、最初の茹で汁を処分します。
これが、茹でこぼしの基本的な工程です。
茹で汁には脂が多く含まれていることがあるため、大量の脂をそのまま排水口へ流すのは避けたほうがよいでしょう。
茹で汁を冷まし、表面に固まった脂を取り除いてから処理すると、排水管への脂の付着を防ぎやすくなります。
5.豚肉を軽く洗う
茹でた豚肉の表面にアクや固まったタンパク質などが付着している場合は、水やぬるま湯でやさしく洗い流します。
強くこすると肉が崩れることがあるため、表面を軽く流す程度で十分です。
6.鍋も洗う
鍋の内側にも脂やアクが付着しています。
そのまま本煮込みに使うと、せっかく取り除いた脂やアクが再び煮汁に入ってしまう可能性があります。
よりすっきりした仕上がりを目指す場合は、鍋も一度洗ってから使いましょう。
茹でこぼしと下茹での違い
茹でこぼしは「茹で汁を捨てること」
茹でこぼしは、食材を茹でたあとに、その茹で汁を捨てる調理法を指します。
角煮の場合は、最初の加熱で出た脂やアクを含む湯を処分する工程が茹でこぼしにあたります。
下茹では「本調理前に茹でること」
下茹では、味付けなどの本調理に入る前に、あらかじめ食材を茹でる工程全般を指します。
そのため、
「豚肉を下茹でして、その茹で汁を捨てる」
という工程は、下茹でであると同時に茹でこぼしでもあります。
ただし、角煮では「短時間の茹でこぼし」と「肉を柔らかくするための長めの下茹で」が別の工程になる場合もあります。
茹でこぼしたあとはどうする?
新しい水で下茹でする
茹でこぼしたあと、新しい水を加えて豚肉をさらに下茹でする方法があります。
この工程では、余分な脂を落とすだけでなく、豚肉をじっくり加熱して柔らかくしていきます。
弱火から中弱火程度で静かに加熱し、肉が硬くなりすぎないようにするのがポイントです。
しょうがや長ねぎを加えてもよい
下茹での際に、しょうがの薄切りや長ねぎの青い部分を加える方法もあります。
豚肉の風味を整えたい場合に使われる一般的な方法ですが、必須ではありません。
水だけで下茹でし、しょうがや長ねぎは本煮込みの段階で加えても問題ありません。
調味料を加えて本煮込みする
豚肉がある程度柔らかくなったら、しょうゆ、砂糖、酒、みりんなどを使って本格的に味付けします。
角煮を柔らかく仕上げるには、茹でこぼしだけでなく、その後の下茹でや本煮込みの加熱時間も重要です。
下茹で汁は必ず捨てる必要がある?
あっさり仕上げたい場合は捨てる
脂っこさをできるだけ抑えたい場合は、下茹で汁を捨てて新しい水や調味液で煮込む方法が向いています。
本煮込みに余分な脂が入りにくくなるため、比較的すっきりした味わいになります。
旨味を生かしたい場合は再利用する方法もある
一方、下茹で汁には豚肉から出た旨味も含まれています。
そのため、レシピによっては表面の脂やアクを取り除いたうえで、下茹で汁の一部を本煮込みに利用します。
つまり、
「角煮では茹で汁を必ず捨てなければならない」
というわけではありません。
脂を減らしたいのか、豚肉の旨味を残したいのかによって使い分けるとよいでしょう。
茹でこぼしは何回すればよい?
基本的には何度も行う必要はない
豚バラ肉の脂を減らしたいからといって、何度も茹でこぼす必要があるとは限りません。
一般的には、最初の下処理として一度茹でこぼし、その後に新しい水で下茹でする方法でも十分です。
何度も長時間茹でこぼすと、角煮らしい脂の甘みやコクまで弱くなる可能性があります。
脂をさらに減らしたいなら冷やして取り除く方法もある
よりあっさりした角煮にしたい場合は、茹でこぼす回数を増やすよりも、完成後にいったん冷やす方法も有効です。
角煮を冷蔵庫などで冷やすと、煮汁の表面に脂が白く固まります。
その脂を取り除いてから温め直せば、味を大きく損なわずに脂っこさを減らしやすくなります。
豚肉は焼いてから茹でこぼしてもよい?
焼いてから下茹でする方法もある
角煮では、豚バラ肉をそのまま茹でるだけでなく、表面を焼いてから下茹でする方法もあります。
フライパンなどで豚肉の表面に焼き色をつけることで、香ばしさを加えられます。
また、焼いている途中に出た脂を取り除けば、余分な脂を減らすこともできます。
あっさり仕上げたいならそのまま茹でてもよい
香ばしさよりも、すっきりした味わいを重視する場合は、焼かずにそのまま下茹でしても問題ありません。
角煮にはさまざまな作り方があるため、
香ばしさを出したい場合は焼いてから下茹で、
シンプルに仕上げたい場合はそのまま下茹で、
というように使い分けるとよいでしょう。
角煮の茹でこぼしで注意したいポイント
茹ですぎれば必ず柔らかくなるわけではない
茹でこぼしそのものは、主に脂やアクを取り除くための工程です。
短時間の茹でこぼしだけで、豚肉が十分に柔らかくなるわけではありません。
柔らかい角煮に仕上げるには、その後の下茹でや本煮込みで、肉の状態を見ながらじっくり加熱する必要があります。
強火で激しく煮続けない
長時間強火で激しく沸騰させると、肉が崩れたり、煮汁が濁ったりしやすくなります。
下茹でや本煮込みでは、沸騰したあとは火を弱め、静かに煮ることを意識しましょう。
茹で汁の脂をそのまま流さない
豚バラ肉の茹で汁には多くの脂が含まれることがあります。
脂を大量に排水口へ流すと、冷えて固まり、排水管の詰まりや悪臭につながる可能性があります。
茹で汁を冷まし、固まった脂を取り除いてから処理するのがおすすめです。
角煮の茹でこぼしの基本手順
角煮をすっきり仕上げたい場合は、次の流れを目安にするとよいでしょう。
1.豚バラ肉を鍋に入れる
豚バラ肉を食べやすい大きさに切るか、ブロックのまま鍋に入れます。
2.水を加えて加熱する
肉が浸かる程度の水を加え、中火にかけます。
3.アクや脂が出るまで加熱する
沸騰してアクや脂が浮いてきたら、必要な時間だけ加熱します。
4.茹で汁を捨てる
豚肉を取り出し、脂やアクを含んだ最初の茹で汁を処分します。
5.肉と鍋をきれいにする
豚肉の表面を軽く洗い、鍋についた脂やアクも洗い流します。
6.必要に応じて新しい水で下茹でする
新しい水を加え、必要であればしょうがや長ねぎとともにじっくり下茹でします。
7.調味料を加えて本煮込みする
肉が柔らかくなってきたら、しょうゆや砂糖、酒などを加えて味を含ませます。
まとめ
角煮の茹でこぼしは、豚バラ肉から出る余分な脂やアクを取り除き、脂っこさを抑えやすくするための下処理です。
基本的には、豚肉を一度茹でて茹で汁を捨て、肉や鍋をきれいにしてから次の調理へ進みます。
ただし、下茹で汁を必ず捨てる必要があるわけではなく、脂やアクを取り除いて本煮込みに利用する方法もあります。
また、茹でこぼしは肉を柔らかくすることだけが目的ではありません。
柔らかい角煮に仕上げるには、その後の下茹でや本煮込みも重要です。
脂を抑えてすっきり仕上げたい場合は茹で汁を捨て、豚肉の旨味を生かしたい場合は下茹で汁を活用するなど、好みの仕上がりに合わせて調理方法を選ぶとよいでしょう。
以上、角煮の茹でこぼしの方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
