角煮を煮る前に焼く理由について

目次

角煮を煮る前に焼く理由とは

角煮を作るとき、豚バラ肉をそのまま煮るのではなく、最初にフライパンなどで表面を焼くレシピがあります。

この工程には、単に焼き色をつけるだけではなく、角煮の香りや味わいを豊かにする重要な役割があります。

特に大きな目的は、豚肉の表面に香ばしい風味を加えることです。

また、焼いたときに豚バラ肉から溶け出した脂を取り除けば、煮汁に入る脂の量を調整することもできます。

一方で、「肉を焼くと表面が密閉されて肉汁が閉じ込められる」という説明は正確ではありません。

角煮を煮る前に焼く理由を正しく理解しておくと、好みに合わせて「焼く」「焼かない」を使い分けやすくなります。

角煮を焼く最大の理由は香ばしさを加えるため

メイラード反応によって焼き香が生まれる

豚肉の表面を高温で焼くと、こんがりとした褐色の焼き色がつきます。

このとき起こる代表的な反応が「メイラード反応」です。

メイラード反応とは、食材に含まれるアミノ酸などの成分と糖が加熱によって反応し、さまざまな香りや褐色の物質を生み出す現象です。

ステーキや焼き肉、パンの焼き色などにも関係しています。

角煮でも、豚バラ肉を最初に焼くことで、煮るだけでは得にくい香ばしい香りを加えることができます。

角煮の味にコクや奥行きが出る

角煮は、醤油、砂糖、酒などを使って甘辛く煮込む料理です。

豚肉を焼いてから煮ると、調味料の味に加えて焼いた肉特有の香ばしさが加わります。

そのため、焼かずに煮た場合と比較すると、より濃厚で複雑な味わいに感じやすくなります。

しっかりとした味の角煮や、香ばしさを感じる角煮を作りたい場合には、煮る前に焼く方法が向いています。

豚バラ肉の余分な脂を取り除きやすくなる

焼くと脂身から脂が溶け出す

角煮によく使われる豚バラ肉には、赤身と脂身が層状に含まれています。

フライパンで焼くと脂身が加熱され、徐々に脂が溶け出します。

この脂をそのまま煮汁に加えることもできますが、量が多いと角煮が重たい味わいになることがあります。

焼いたあとにフライパンへ出た脂を捨てたり、キッチンペーパーで取り除いたりすれば、煮汁に入る脂の量を抑えることができます。

焼くだけで完全に脂抜きできるわけではない

ただし、豚肉を焼けば脂が大幅に抜けるというわけではありません。

角煮の脂をしっかり落としたい場合には、焼く工程だけでなく、その後の下茹でも重要です。

さらに、完成した角煮を一度冷やし、煮汁の表面に固まった脂を取り除く方法もあります。

そのため、焼く工程は「脂を完全に取り除くため」というより、焼いたときに溶け出した余分な脂を煮汁に入れずに済む工程と考えるとよいでしょう。

豚肉特有のにおいが目立ちにくくなることもある

焼き香によって肉のにおいが気になりにくくなる

豚肉を焼くと、メイラード反応によって香ばしい香りが生まれます。

そのため、豚肉や脂が持つ独特のにおいが、相対的に目立ちにくくなることがあります。

ただし、「焼けば豚肉の臭みが完全に取れる」というわけではありません。

焼くことによる主な効果は、臭みそのものを除去することよりも、香ばしい香りを加えることです。

臭み対策には下茹でや香味野菜も有効

豚肉のにおいを抑えたい場合には、焼くだけでなく下茹でを組み合わせると効果的です。

下茹ですることで、肉から出るアクや一部の脂を取り除くことができます。

さらに、しょうが、長ねぎの青い部分、酒などを一緒に使う方法も一般的です。

臭みが気になる場合には、焼く工程だけに頼らず、下処理全体で調整するとよいでしょう。

焼くと角煮の見た目もよくなる

表面にこんがりとした焼き色がつく

豚バラ肉を焼いてから煮込むと、肉の表面に自然な焼き色がつきます。

角煮は醤油を使って煮込むため最終的には茶色くなりますが、最初に焼いておくことで、単なる醤油の色とは異なる香ばしい褐色に仕上がります。

厚切りの豚バラ肉では、側面まで焼き色がついていると見た目にも食欲をそそります。

肉の表面を扱いやすくなることがある

豚肉を加熱すると、表面のたんぱく質が熱によって変化します。

そのため、生の状態と比較すると、煮始めの肉を扱いやすくなることがあります。

ただし、焼いたからといって煮崩れを完全に防げるわけではありません。

角煮の煮崩れには、肉の大きさ、煮込み時間、火加減、肉を動かす頻度なども関係します。

「焼けば形が必ず崩れなくなる」と考えないことが大切です。

「焼くと肉汁を閉じ込められる」は正しい?

肉の表面は完全には密閉されない

肉を焼く理由について、以前は「表面を焼いて肉汁を閉じ込めるため」と説明されることがありました。

しかし、肉を焼いても表面に防水膜のようなものができるわけではありません。

焼いた肉からも水分は失われます。

特に角煮は長時間煮込む料理なので、最初に表面を焼いたとしても、その後の加熱によって肉の水分や脂の状態は変化します。

そのため、角煮を煮る前に焼く理由を「肉汁を閉じ込めるため」とするのは適切ではありません。

焼く目的は肉汁より風味

角煮の場合、焼く最大のメリットは肉汁を閉じ込めることではなく、表面に香ばしい風味を加えることです。

さらに、焼いたときに出た脂を取り除いたり、きれいな焼き色をつけたりする効果もあります。

したがって、角煮では、

「焼くと肉汁が逃げない」

というより、

「焼くことで香ばしさとコクを加えられる」

と理解するとよいでしょう。

角煮を焼くときの基本的な方法

豚バラ肉の表面の水分を拭く

きれいな焼き色をつけるためには、豚肉の表面に水分が多く残っていないことが重要です。

キッチンペーパーなどを使い、表面の余分な水分を軽く拭き取ってから焼きましょう。

水分が多い状態では、フライパンの中で肉が蒸されたような状態になり、焼き色がつきにくくなります。

中火から強めの中火で焼く

フライパンを温め、豚バラ肉を中火から強めの中火程度で焼きます。

表面全体にこんがりとした褐色の焼き色がつけば十分です。

上下だけでなく、厚みのある肉なら側面も焼くと香ばしさが増します。

角煮はそのあと下茹でや煮込みを行うため、この段階で肉の中心まで完全に火を通す必要はありません。

ただし、表面だけ焼いた豚肉をそのまま長時間放置したり保存したりせず、続けて下茹でや煮込みを行いましょう。

油は基本的に少量でよい

豚バラ肉は脂身が多い部位なので、フライパンに大量の油を入れる必要はありません。

脂身の面から焼き始めると、豚肉自身の脂が少しずつ溶け出します。

焦げ付きにくいフライパンなら、油を使わずに焼くこともできます。

焦げ付きが気になる場合は、ごく少量の油を使うとよいでしょう。

焦がしすぎないことが大切

香ばしくしたいからといって、豚肉を真っ黒になるまで焼く必要はありません。

表面にこんがりとした茶色い焼き色がつく程度が目安です。

黒く焦げた部分が多くなると、煮込んだときに苦味が出ることがあります。

香ばしさと焦げは異なるため、火加減を調整しながら焼きましょう。

フライパンに残った焼き付きはどうする?

茶色い焼き付きは風味に利用できる

肉を焼いたあと、フライパンの底に茶色い焼き付きが残ることがあります。

これは肉から出た成分が加熱されて付着したもので、焦げていなければ料理の風味を豊かにする材料として利用できます。

酒や水などを加えて溶かし、煮汁に加えると、香ばしさやコクを生かすことができます。

黒く焦げた部分は取り除く

一方、真っ黒に炭化した焦げは、煮汁に入れると苦味の原因になることがあります。

茶色い焼き付きと黒い焦げは区別しましょう。

焦げてしまった部分が多い場合は、無理に煮汁へ加えず取り除いたほうが無難です。

焼いてから下茹でする方法もおすすめ

「焼く→下茹で→味付け」の順番

角煮の代表的な作り方のひとつが、豚バラ肉を焼いてから下茹でし、その後調味料で煮込む方法です。

この方法では、それぞれの工程に役割があります。

最初に焼くことで香ばしい風味を加え、下茹でで余分な脂やアクを落とし、最後に醤油や砂糖などで味を含ませます。

香ばしさがありながら、脂っこくなりすぎない角煮を作りたい場合に適しています。

下茹でしてから焼く方法もある

角煮には「下茹でしてから焼く」という作り方もあります。

この場合は、下茹でした肉の表面に水分が多く残っているため、焼く前によく拭き取ることが大切です。

水分が残っていると焼き色がつきにくくなります。

どちらの方法でも角煮は作れるため、レシピや好みに合わせて選びましょう。

角煮は必ず焼かなければならない?

焼かなくてもおいしい角煮は作れる

角煮を作る際、豚肉を必ず焼かなければならないわけではありません。

焼かずに下茹でし、そのまま調味料で煮込む方法でも、おいしい角煮を作れます。

焼かない場合はメイラード反応による焼き香が加わらないため、比較的穏やかな風味に仕上がりやすくなります。

仕上げたい味によって使い分ける

香ばしく濃厚な味わいにしたいのであれば、煮る前に焼く方法がおすすめです。

一方、焼き香を控え、煮豚らしいやさしい味わいにしたい場合は、焼かずに作る方法も適しています。

なお、角煮が脂っこくなるかどうかは、焼くかどうかだけで決まるわけではありません。

使用する豚肉の脂身の量や下茹での方法、煮汁の脂を取り除くかどうかなども大きく影響します。

角煮を煮る前に焼く理由のまとめ

角煮を煮る前に豚バラ肉を焼く最大の理由は、肉の表面に香ばしい焼き色と風味を加えるためです。

高温で焼くことでメイラード反応が起こり、煮るだけでは得にくい香りやコクを加えることができます。

また、焼いたときに脂身から溶け出した脂を取り除けば、煮汁に入る脂の量を調整できます。

一方、「肉の表面を焼くと肉汁を完全に閉じ込められる」という説明は正確ではありません。

焼く工程の主な目的は、肉汁を封じ込めることではなく、風味を豊かにすることです。

角煮は焼かなくても作れるため、香ばしく濃厚に仕上げたい場合は焼き、穏やかな煮込み料理らしい風味にしたい場合は焼かないなど、目指す仕上がりによって使い分けるとよいでしょう。

以上、角煮を煮る前に焼く理由についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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