角煮に舞茸を使うメリット
角煮に舞茸を加えると、きのこ特有の旨味や香りをプラスできるだけでなく、肉をやわらかく仕上げる効果も期待できます。
舞茸は醤油や砂糖、酒、みりんなど、角煮でよく使われる調味料とも相性がよく、いつもの角煮を少し違った味わいにしたいときにもおすすめの食材です。
ただし、舞茸の肉をやわらかくする作用は比較的強いため、使い方によっては肉の食感がやわらかくなりすぎることがあります。
舞茸の特徴を理解して、適度な量と加熱時間で使うことが大切です。
舞茸の酵素によって肉をやわらかくできる
舞茸を角煮に使う大きなメリットの一つが、肉をやわらかくする働きを期待できることです。
舞茸には、たんぱく質を分解する「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素が含まれています。
この酵素が肉の筋肉たんぱく質などに作用することで、肉質がやわらかくなりやすくなります。
特に赤身の割合が多い豚肩ロースなどを角煮に使う場合は、舞茸を取り入れることでやわらかさを補う方法として活用できます。
一方、豚バラ肉は脂肪が多く、長時間煮込むだけでもやわらかく仕上がりやすい部位です。
そのため、豚バラ肉の場合は肉をやわらかくする目的だけでなく、旨味や香りを加える具材として舞茸を使うのもよいでしょう。
加熱中にも肉をやわらかくする作用が期待できる
舞茸のプロテアーゼは比較的熱に強い性質を持つことが知られています。
そのため、肉をやわらかくするために必ずしも加熱前に長時間漬け込む必要はありません。
生の舞茸を肉に接触させて下処理する方法のほか、舞茸と豚肉を一緒に加熱する方法でも、肉をやわらかくする作用が期待できます。
ただし、舞茸を長時間肉に作用させればよいというわけではありません。
作用が強すぎると肉の表面が必要以上にやわらかくなり、角煮らしい繊維感が失われる場合があります。
角煮に旨味と香りを加えられる
舞茸には、きのこならではの豊かな旨味や香りがあります。
豚肉から出る脂や旨味と舞茸の風味が合わさることで、煮汁に奥行きを出しやすくなります。
醤油、砂糖、酒、みりんといった和風の甘辛い味付けとの相性もよく、特別な調味料を増やさなくても味に変化を付けられるのが魅力です。
煮汁を吸った舞茸そのものもおいしく食べられるため、角煮の付け合わせとしても活躍します。
豚肉だけで作るよりも食感に変化が出る
豚バラ肉を使った角煮は濃厚な脂の旨味を楽しめる一方、食べ進めるうちに重く感じることがあります。
舞茸を一緒に加えると、きのこのほどよい弾力や香りがアクセントになります。
豚肉とは異なる食感が加わるため、最後まで飽きにくい角煮に仕上げやすくなります。
大根やゆで卵とはまた違った具材を合わせたい場合にもおすすめです。
食材の種類を増やせる
舞茸には食物繊維など、豚肉にはあまり含まれていない栄養素が含まれています。
角煮に加えることで、一皿の中に含まれる食材の種類を増やせる点もメリットです。
ただし、舞茸を加えたからといって角煮そのものの脂質やカロリーが大幅に減るわけではありません。
脂っこさを抑えたい場合は、豚バラ肉ではなく豚肩ロースを使ったり、下ゆで後に固まった脂を取り除いたりする方法も併用するとよいでしょう。
参考サイト
舞茸を使った角煮の基本的な材料
舞茸入りの角煮は、一般的な豚の角煮に舞茸を加えるだけでも簡単に作れます。
ここでは、3〜4人分程度の材料を紹介します。
材料の目安
- 豚バラブロックまたは豚肩ロースブロック……500〜600g
- 舞茸……1パック、約100g
- 長ねぎの青い部分……1本分
- しょうが……1片
- 水……適量
- 酒……100ml程度
- 醤油……大さじ3〜4
- 砂糖……大さじ2〜3
- みりん……大さじ2程度
調味料の量はあくまで目安です。
鍋の大きさや煮込み時間によって煮汁の濃さが変わるため、仕上げに味見をしながら調整すると失敗しにくくなります。
舞茸入り角煮の作り方
舞茸入り角煮をおいしく作るには、豚肉をじっくり加熱しながら、舞茸の風味や食感を生かすことがポイントです。
豚肉を食べやすい大きさに切る
豚肉を4〜5cm角程度の大きさに切ります。
煮込むと多少縮むため、完成時に食べたいサイズよりも少し大きめに切っておくとよいでしょう。
豚バラ肉を使う場合は、脂身と赤身がほどよく入るように切り分けます。
必要に応じて舞茸で下処理する
舞茸による肉の軟化作用を積極的に利用したい場合は、生の舞茸を細かく刻み、豚肉にまぶしておく方法があります。
保存袋などに豚肉と舞茸を入れ、全体をなじませて冷蔵庫に置きます。
家庭で試す場合は、まず短時間から様子を見るとよいでしょう。
舞茸の酵素は肉のたんぱく質に作用するため、長時間置きすぎると肉の表面がやわらかくなりすぎる可能性があります。
角煮はその後も長時間加熱する料理なので、過度な漬け込みは必要ありません。
また、この下処理は必須ではありません。
舞茸と豚肉を一緒に煮込む方法でも、舞茸の特徴を生かすことができます。
豚肉の表面を焼く
好みに応じて、煮込む前に豚肉の表面を焼きます。
フライパンを熱し、豚バラ肉の場合は脂身側から焼くと、肉自身の脂が出てきます。
全面に軽く焼き色を付けると香ばしい風味が加わります。
ただし、表面を焼く工程は必須ではありません。
よりあっさりした角煮にしたい場合は、そのまま下ゆでしても問題ありません。
豚肉を下ゆでする
鍋に豚肉を入れ、肉がしっかり浸る程度の水を加えます。
長ねぎの青い部分と薄切りにしたしょうがを加え、弱火から中弱火でじっくり煮ます。
普通の鍋を使う場合は、1〜2時間程度を目安にします。
ただし、豚肉の部位や大きさによって必要な時間は変わります。
激しく沸騰させ続けると肉が締まりやすいため、煮汁が静かに揺れる程度の火加減を保つのがポイントです。
下ゆで後に余分な脂を取り除く
豚バラ肉の脂っこさを抑えたい場合は、下ゆでした豚肉と煮汁を一度冷まします。
十分に冷えると煮汁の表面に脂が白く固まるため、スプーンなどで簡単に取り除けます。
よりあっさりした角煮にしたい場合は、冷蔵庫でしっかり冷やしてから脂を取り除くとよいでしょう。
調味料を加えて煮込む
下ゆでが終わったら、豚肉に甘辛い味を付けていきます。
酒と砂糖を加えて煮る
鍋に豚肉と適量の煮汁を入れ、酒と砂糖を加えます。
弱火でしばらく煮て、甘味をなじませます。
その後、醤油とみりんを加えてさらに煮込みます。
醤油を最初から大量に加えると、煮詰まったときに味が濃くなりすぎることがあります。
最初はやや薄めに味付けし、仕上げに調整すると失敗しにくくなります。
舞茸を加える
舞茸は食べやすい大きさに手でほぐして加えます。
肉をやわらかくする作用も利用したい場合は、比較的早い段階から豚肉と一緒に煮込んでも構いません。
一方、舞茸の食感や香りをしっかり残したい場合は、完成の10〜20分ほど前に加えるのがおすすめです。
つまり、舞茸を加えるタイミングは目的によって変えます。
肉の軟化作用を生かしたい場合は早めに、舞茸そのものの食感を楽しみたい場合は仕上げに近いタイミングで加えるとよいでしょう。
落としぶたをして煮込む
調味料を加えたら落としぶたをし、弱火でじっくり煮ます。
落としぶたを使うことで、少ない煮汁でも豚肉全体に味が回りやすくなります。
途中で肉の上下を返しながら煮ると、さらに均一に味を染み込ませやすくなります。
煮汁が少なくなりすぎた場合は、焦げ付く前に水や下ゆでの煮汁を少量加えて調整してください。
舞茸入り角煮をおいしく作るポイント
舞茸は便利な食材ですが、使い方を工夫するとさらにおいしく仕上げられます。
舞茸を長時間作用させすぎない
舞茸に含まれるプロテアーゼには、肉のたんぱく質を分解する働きがあります。
肉をやわらかくする点ではメリットですが、長時間作用させすぎると、表面が必要以上にやわらかくなる可能性があります。
角煮は「箸で切れるほどやわらかい」状態がおいしい料理ですが、肉の繊維感が完全になくなるほど軟化させる必要はありません。
舞茸を下処理に使う場合は、長時間漬け込むのではなく、短時間から試すのが無難です。
舞茸の量を増やしすぎない
舞茸は香りの強いきのこです。
大量に使うと、角煮よりも舞茸の香りが前面に出ることがあります。
豚肉500〜600gに対して舞茸1パック程度から始めると、味のバランスを取りやすいでしょう。
きのこの味を強くしたい場合は、好みに合わせて少しずつ増やしてください。
煮汁の色が濃くなることがある
舞茸を長時間煮ると、舞茸由来の色が煮汁に出て、通常よりも濃い茶色や黒っぽい色に見えることがあります。
これは必ずしも失敗ではありません。
角煮はもともと醤油で濃い色に仕上がるため、それほど目立たない場合もあります。
見た目をできるだけ明るく仕上げたい場合は、舞茸を煮込み終盤に加えるとよいでしょう。
煮込み時間を短縮しすぎない
舞茸には肉をやわらかくする作用がありますが、舞茸を加えれば短時間で本格的な角煮が完成するというわけではありません。
角煮のやわらかさには、筋肉たんぱく質だけでなく、肉に含まれる結合組織やコラーゲンも関係しています。
じっくり加熱することでコラーゲンが変化し、角煮特有のやわらかい食感につながります。
舞茸の酵素は肉をやわらかくする補助として活用し、基本的には弱火でじっくり煮込むことが大切です。
豚バラ肉と豚肩ロースでは舞茸の役割が異なる
角煮に使う豚肉の部位によって、舞茸を使う目的を変えるのもおすすめです。
豚バラ肉の場合
豚バラ肉は脂身が多く、長時間煮込むことで比較的やわらかく仕上がりやすい部位です。
そのため、舞茸を肉の軟化だけを目的として使う必要性はそれほど高くありません。
舞茸の旨味や香りを加える具材として使うだけでも十分にメリットがあります。
脂の多い豚バラ肉と舞茸を一緒に食べることで、食感に変化が生まれ、濃厚な角煮を食べやすくすることもできます。
豚肩ロースの場合
豚肩ロースは豚バラ肉よりも赤身が多く、脂身が少ない部位です。
そのため、脂っこさを抑えた角煮を作りたい場合に向いています。
一方で、加熱方法によっては豚バラ肉よりもかたさを感じることがあります。
そのような場合に、舞茸を下処理や煮込みに取り入れ、やわらかさを補う方法が役立ちます。
ただし、「豚肩ロースのほうが舞茸の効果が必ず高くなる」という意味ではありません。
部位ごとの特徴を踏まえた料理上の工夫として考えるとよいでしょう。
舞茸入り角煮と相性のよい具材
舞茸入り角煮には、さまざまな具材を追加できます。
煮汁を吸いやすい食材を組み合わせると、満足感のある一皿に仕上がります。
大根
大根は角煮の定番ともいえる具材です。
豚肉や舞茸から出た旨味を含んだ煮汁が大根に染み込むため、非常に相性のよい組み合わせです。
厚めの輪切りや半月切りにして下ゆでしてから加えると、中まで味が染み込みやすくなります。
ゆで卵
甘辛い角煮の煮汁とゆで卵もよく合います。
長時間煮すぎると卵がかたくなりやすいため、煮込みの後半に加えるのがおすすめです。
火を止めた後、煮汁の中にしばらく漬けておく方法でも味を染み込ませられます。
長ねぎ
長ねぎを焼いてから角煮に加えると、香ばしさと甘味をプラスできます。
舞茸の香りとの相性もよく、豚肉、舞茸、長ねぎを一緒に食べることで味にメリハリが生まれます。
しいたけ
きのこの旨味をさらに強くしたい場合は、しいたけを一緒に加える方法もあります。
ただし、舞茸としいたけを大量に入れると、きのこの香りがかなり強くなります。
豚肉とのバランスを考えながら量を調整しましょう。
舞茸入り角煮は作り置きにも向いている
角煮は、作った直後だけでなく、一度冷ましてから温め直してもおいしい料理です。
冷ますことで味がなじみやすい
煮込みが終わったら、いったん火を止めて冷ますと、豚肉や舞茸に煮汁の味がなじみやすくなります。
食べる前に再び弱火で温めると、味にまとまりが出ます。
また、豚バラ肉を使った場合は、冷やすことで表面に浮いた脂が固まるため、余分な脂を取り除きやすくなります。
保存するときは十分に冷ましてから冷蔵する
作り置きする場合は、粗熱を取ってから清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存します。
食べるときは、中心部まで十分に再加熱してください。
舞茸を含むきのこ類も加熱済みの料理として扱い、常温で長時間放置しないことが大切です。
角煮に舞茸を使うときは目的に合わせて加えるタイミングを変えよう
舞茸は、角煮に旨味や香り、食感を加えられるだけでなく、含まれているプロテアーゼによって肉をやわらかくする効果も期待できる食材です。
肉の軟化作用を積極的に利用したい場合は、加熱前に豚肉と舞茸を接触させたり、煮込みの早い段階から一緒に加熱したりする方法があります。
一方、舞茸そのものの香りや食感をしっかり残したい場合は、煮込み終盤に加えるのがおすすめです。
ただし、舞茸を使ったからといって、角煮に必要な煮込み時間を極端に短くできるわけではありません。
角煮特有のやわらかさを出すためには、豚肉を弱火でじっくり加熱することも重要です。
「肉をやわらかくしたいなら早めに舞茸を使う」「舞茸の食感や香りを楽しみたいなら仕上げに加える」と考えると、目的に合った舞茸入り角煮を作りやすくなります。
以上、角煮に舞茸を使うメリットや作り方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
