角煮は、だしを使わず、水・酒・しょうゆ・砂糖などを中心にしても作れる料理です。
一方で、かつおだしや昆布だしなどを加えると、豚肉のうま味にだしのうま味が重なり、煮汁に奥行きが生まれます。
だしを使うことで、しょうゆや砂糖の味だけが前に出にくくなり、甘辛くてもまとまりのある味に仕上げやすくなります。
ただし、だしを濃くしすぎると豚肉本来の風味を弱めることがあるため、主役である豚肉を引き立てる程度に使うのがポイントです。
角煮におすすめのだしの種類
かつおだし
かつおだしは、和風の角煮を作るときに使いやすいだしです。
かつお節の豊かな香りとうま味がしょうゆとよく合い、ご飯が進む定番の甘辛い味に仕上げられます。
大根やゆで卵を一緒に煮る場合にも相性がよく、具材に煮汁のうま味を含ませやすいのが特徴です。
ただし、かつおだしを極端に濃くすると魚介の香りが強くなり、豚肉の風味が目立ちにくくなることがあります。
だしパックや顆粒だしを使用する場合は、基本的に商品に記載された標準的な濃さを目安にするとよいでしょう。
昆布だし
昆布だしは香りが穏やかで、豚肉そのものの味を生かした角煮に向いています。
昆布に含まれるうま味によって、煮汁に自然な厚みを加えられるのが特徴です。
かつおだしを使った角煮よりもすっきりした印象になりやすいため、濃厚すぎない上品な角煮を作りたい場合に適しています。
薄口しょうゆなどと組み合わせれば、色合いを比較的淡く仕上げることもできます。
昆布とかつおの合わせだし
だし選びに迷った場合は、昆布とかつお節を組み合わせた合わせだしがおすすめです。
昆布の穏やかなうま味とかつお節の香りを両方楽しめるため、味のバランスを取りやすくなります。
豚肉だけでなく、大根や卵などを一緒に煮込む場合にも使いやすく、家庭的な角煮から上品な和風角煮まで幅広く対応できます。
煮干しだし
煮干しだしを使うと、魚介のうま味がしっかり感じられる角煮になります。
かつおだしや昆布だしよりも風味が強いため、定番というよりは味に変化をつけたい場合のアレンジ向きです。
煮干し特有の香りや苦味が強く出ることもあるため、濃くしすぎないことが大切です。
豚肉の風味を生かしたい場合には、かつおだしや合わせだしのほうが使いやすいでしょう。
鶏だし
中華風の角煮にアレンジしたい場合には、鶏だしを使う方法があります。
鶏のコクが加わることで、和風だしとは異なる濃厚な味わいになります。
八角やしょうが、長ねぎ、紹興酒などとも相性がよく、中華料理風の香りを楽しめます。
ただし、市販の鶏ガラスープの素には塩分が含まれている商品が多いため、しょうゆを加える際には味を確認しながら調整しましょう。
白だし
手軽に和風のうま味を加えたい場合には、白だしも便利です。
白だしには、かつお節や昆布などのだしに加え、しょうゆや塩などが含まれている商品が一般的です。
そのため、白だしを使いながら通常のレシピと同量のしょうゆを加えると、塩辛くなる場合があります。
商品によって濃縮倍率や塩分が異なるため、パッケージの表示を確認しながら使用量を調整することが大切です。
顆粒だし
手軽さを優先するなら、顆粒タイプの和風だしでも角煮を作れます。
水に溶かすだけなので、だしを一から取る時間がない場合にも便利です。
顆粒だしには食塩が含まれている商品もあるため、入れすぎには注意しましょう。
だしのうま味を補う程度に使用し、しょうゆなどの量は味見をしながら決めるのがおすすめです。
角煮の基本的な味付け
豚バラ肉500〜600g程度の味付け目安
家庭で作りやすい基本の配合としては、次のような分量が目安になります。
- だし:400〜500ml
- しょうゆ:大さじ3〜4
- 酒:大さじ3〜4
- 砂糖:大さじ2〜3
- 本みりん:大さじ2〜3
- しょうが:1片程度
ただし、これはあくまで目安です。
鍋の大きさや豚肉の量、火加減、煮込み時間によって煮汁の減り方が異なるため、最初から味を濃くしすぎないことが重要です。
角煮は長く煮るほど煮汁が煮詰まり、塩味や甘味が強くなります。
最初は少し薄いと感じる程度から始め、仕上げに味を整えると失敗しにくくなります。
しょうゆの種類で角煮の味を変える
濃口しょうゆ
濃口しょうゆは、家庭で角煮を作るときに最も使いやすいしょうゆです。
香りと色がしっかり付き、甘辛く濃厚な味に仕上げられます。
ご飯のおかずとして食べる定番の角煮を作りたい場合に適しています。
参考サイト
こいくち醤油(しょうゆ)、うすくち醤油について教えてください。|農林水産省
薄口しょうゆ
薄口しょうゆを使用すると、濃口しょうゆよりも煮汁の色を比較的淡く仕上げられます。
昆布だしなどと合わせれば、上品な印象の角煮になります。
ただし、「薄口」という名称は色が薄いことを意味しており、必ずしも塩分が低いわけではありません。
商品によっては濃口しょうゆより塩分が高いものもあるため、味を確認しながら使いましょう。
たまりしょうゆ
たまりしょうゆを加えると、深い色と濃厚なコクを出しやすくなります。
照りのある角煮を作りたい場合にも向いています。
すべてのしょうゆをたまりしょうゆに置き換えると味が強くなりすぎることがあるため、濃口しょうゆに少量混ぜる程度から試すとよいでしょう。
砂糖の種類で甘味とコクを調整する
上白糖
上白糖はクセが少なく、一般的な甘辛い角煮に使いやすい砂糖です。
しょうゆやだしの風味を邪魔しにくいため、初めて角煮を作る場合にも扱いやすいでしょう。
きび砂糖
きび砂糖を使うと、上白糖よりもコクのある甘味を感じやすくなります。
まろやかで深みのある角煮にしたい場合におすすめです。
黒糖
黒糖を使うと、独特の香りと濃厚な甘味が加わります。
コクの強い角煮を作りたい場合や、沖縄料理をイメージした味付けにしたい場合に向いています。
黒糖の風味は強いため、初めて使う場合は砂糖の一部を黒糖に置き換える程度から始めると調整しやすくなります。
酒と本みりんを上手に使う
酒は豚肉の風味を整える
酒は、角煮の香りを整えながら煮汁に風味を加える役割があります。
しょうがや長ねぎなどの香味野菜と組み合わせることで、豚肉特有の香りも抑えやすくなります。
煮込み料理では比較的多めに酒を使う場合もありますが、しょうゆや砂糖とのバランスを見ながら調整することが重要です。
本みりんは甘味や照りを加える
本みりんを使うと、角煮にまろやかな甘味やコクを加えられます。
仕上がりに照りを出したい場合にも役立ちます。
砂糖と本みりんはどちらも甘味を加える調味料なので、両方を多く入れすぎると甘くなりすぎます。
好みに合わせて割合を調整しましょう。
しょうがや長ねぎで後味をすっきりさせる
しょうがを煮汁に加える
角煮にはしょうががよく合います。
薄切りにしたしょうがを煮汁に加えると、豚肉の脂の重さを和らげ、香りのよい仕上がりになります。
しょうがの風味を強くしたい場合は多めに入れても構いませんが、入れすぎると辛味や香りが強くなるため注意しましょう。
長ねぎの青い部分を下ゆでに使う
長ねぎの青い部分は、豚肉を下ゆでする際にしょうがと一緒に使う方法があります。
豚肉の香りを整えるのに役立ちます。
下ゆで後は、豚肉の表面についたアクや余分な脂を軽く洗い流してから本煮込みをすると、煮汁をすっきり仕上げやすくなります。
濃厚な角煮にする味付け方法
甘辛い味をしっかり付ける
ご飯によく合う濃厚な角煮にしたい場合は、例えば次のような配合から調整できます。
- だし:500ml
- しょうゆ:大さじ4
- 酒:大さじ4
- 本みりん:大さじ3
- 砂糖:大さじ3
さらにコクを出したい場合は、砂糖の一部を黒糖に変えたり、濃口しょうゆに少量のたまりしょうゆを加えたりする方法があります。
しょうゆだけを増やすと、コクよりも塩味が強くなってしまうため、砂糖、みりん、酒、だしとのバランスを整えることが重要です。
あっさりした角煮にする味付け方法
昆布だしを使って上品に仕上げる
濃厚すぎない角煮にしたい場合は、昆布だしや合わせだしを使うとよいでしょう。
例えば、次のような配合を目安にできます。
- だし:500ml
- しょうゆ:大さじ3
- 酒:大さじ4
- 本みりん:大さじ2
- 砂糖:大さじ2
しょうがを少し多めに加えると、脂っこさを感じにくい、すっきりした後味に仕上げやすくなります。
また、下ゆでした豚肉の表面に付いたアクや余分な脂を洗い流してから煮込む方法も、煮汁をすっきり仕上げるのに役立ちます。
中華風の角煮にアレンジする方法
八角や紹興酒を加える
中華風の味付けにしたい場合は、鶏だしを使ったり、八角や紹興酒などを加えたりする方法があります。
例えば、次のような組み合わせです。
- 鶏だし:500ml
- しょうゆ:大さじ3
- 紹興酒または酒:大さじ3
- 砂糖:大さじ2〜3
- 八角:1個程度
八角は香りが非常に強いため、入れすぎないことがポイントです。
オイスターソースを少量加える
より濃厚なうま味を加えたい場合には、オイスターソースを少量使う方法もあります。
ただし、オイスターソースには塩分とうま味がしっかり含まれているため、しょうゆと一緒に多量に使うと味が濃くなりすぎることがあります。
最初は少量から加え、味見をしながら調整しましょう。
沖縄料理のラフテー風に仕上げる方法
泡盛とかつおだしを使う
沖縄料理のラフテーをイメージした味にしたい場合は、かつおだし、泡盛、しょうゆ、砂糖などを組み合わせる方法があります。
レシピによっては黒糖を使い、より深い甘味とコクを出すこともあります。
ラフテーは必ず黒糖を使う料理というわけではありませんが、黒糖を使えば家庭の角煮とは違った風味を楽しめます。
泡盛が手に入らない場合は、日本酒を使ってアレンジしてもよいでしょう。
角煮をおいしくする調味料の入れ方
しょうゆを分けて加えると味を調整しやすい
角煮の調味料はすべて最初から加える方法もありますが、しょうゆを途中から加えたり、2回程度に分けたりすると味の濃さを調整しやすくなります。
例えば、だし、酒、砂糖などである程度煮たあとにしょうゆを加え、仕上げ前に味を確認して追加する方法があります。
特に長時間煮込む場合は、煮汁が煮詰まることを考慮し、最初からしょうゆを多く入れすぎないことが大切です。
大根や卵を一緒に煮る場合のポイント
大根を入れる場合は煮汁の量を確認する
大根は煮汁を含みやすいため、豚肉だけを煮る場合より煮汁が少なく感じることがあります。
ただし、「大根を入れたら必ず何ml追加する」という決まりはありません。
鍋の大きさや大根の量に合わせ、具材全体に煮汁が回る程度になるよう、必要に応じてだしや水を追加しましょう。
ゆで卵は途中から加える
ゆで卵は長時間煮続けると白身が硬くなりやすいため、豚肉がある程度やわらかくなってから加える方法がおすすめです。
煮汁に加えて短時間煮たあと、そのまま冷ますことで味をなじませる方法もあります。
煮汁が濃くなりすぎた場合の対処方法
水や薄いだしを加えて調整する
角煮を長時間煮込んで煮汁が濃くなりすぎた場合は、水または薄めのだしを少しずつ加えて調整します。
しょうゆや砂糖をさらに加えると、より味が濃くなってしまうため注意が必要です。
煮汁は冷めると味の感じ方も変わるため、煮込み終了時点で極端に濃くしすぎないことが大切です。
一度冷ましてから温め直すのもおすすめ
味が全体になじみやすくなる
角煮は出来たてでもおいしく食べられますが、一度冷まして時間を置くことで、煮汁の味が全体になじみやすくなります。
前日に作り、翌日に温め直して食べる方法も向いています。
冷やすと余分な脂を取り除きやすい
角煮を冷蔵庫でしっかり冷やすと、煮汁の表面に脂が白く固まります。
脂っこさが気になる場合は、この固まった脂を取り除いてから再加熱すると、濃厚さを残しながらも比較的すっきりした味に仕上げられます。
角煮のだしは仕上げたい味に合わせて選ぼう
角煮に使うだしには、ひとつだけの正解があるわけではありません。
定番の和風角煮なら、かつおだしや昆布とかつおの合わせだしが使いやすいでしょう。
豚肉そのものの味を生かしたいなら昆布だし、中華風にアレンジしたいなら鶏だしも選択肢になります。
手軽さを優先する場合は、白だしや顆粒だしを活用することもできます。
おいしく仕上げるために重要なのは、だしを濃くすることではなく、だし・しょうゆ・酒・本みりん・砂糖のバランスを整えることです。
最初から濃い味にせず、煮詰まり具合を確認しながら少しずつ調整すると、豚肉のうま味を生かした、やわらかく味わい深い角煮に仕上げやすくなります。
以上、角煮に使うだしの種類やおいしい味付け方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
